外国人受け入れの新制度の発表を前にして、世界一の人材派遣国家であるフィリピンの人材育成と送り出しの実情を改めて学び役立てる為に、2023年9月の18日到着、21日帰国の四泊五日日程にて視察団が編成されました。参加者は三社の登録支援機関、三社の受け入れ企業、一社の行政書士の方々です。
到着日18日は18時にホテルのレストランにて技能実習制度中間報告を全員に配布し、又訪問予定に若干の変更がある点、及び視察に際して重要となる視点などをブリーフィングしました。ブリーフィングの後は、ホテル近くのバフェスタイル(バイキング)アジアンフードをお楽しみ頂きながら名刺交換・相互自己紹介をしました。
翌日19日は7時ホテル出発にてバタンガス州のマタアス・ナ・カホイ市の訪問です。思いのほかの交通量の多さと運転手の不慣れにて到着予定時間9時を過ぎてしまい、我々を御待ち頂いていた市長は他のアポイントの為に市庁舎を後にされていて表敬訪問はかないませんでしたが、PESO(ハローワークに相当)や市の顧問弁護士、市政府下にある全てのバランガイ(最小行政単位)キャプテンの約20名、その他市政府の役職の大勢の方々に暖かく迎え入れて頂きました。マタアス・ナ・カホイ市の前市長は、視察企画者である SSW-PC の宮本氏の親しい友人であり、該当市は宮本氏の NGO 活動の対象の一つであった事から古い職員達はそれら活動を記憶しており、大歓迎となりました。これらの方々を対象としたオリエンティションでは大和日本語学校が提唱する「ロード・トゥ・ジャパン」プロジェクトの解説と来日希望者の用意すべき資格や手順、及びフェイク情報に騙されない様にとの注意事項などが説明されました。後日の話になりますが、視察団の表敬訪問を受けられなかった市長から連絡があり、大和日本語学校の分校を市政府内部に設置にして欲しいとのリクエストがあり、今後実現に向けた話し合いが重ねられる予定です。約二時間のマタアス・ナ・カホイ市の予定を終わり、マニラ帰途上、食事をとって、登録支援機関より強いリクエストのあった。
日本語会話能力の優れた大和日本語学校の農業特定技能生を中心として扱う送り出し機関S社の訪問になりました。農業特定技能生の雇用を考えられている登録支援機関の代表の方によるインタビューが実施されたのですが大和日本語学校を一期生として卒業した農業への就労希望者が自己紹介を通した日本語レベルのチェックや性格診断をされる事となりましたが、有難いことに、この登録支援機関の代表のみならず、参考の為にこれに参加されていた視察団の皆様からは、「良く三か月の短い期間での教育で、此処まで話せるようになりますね」とのお言葉も頂くことになり、大和日本語学校の職員一同、大いに励まされた次第です。
農業特定技能候補生のインタビューを終えて、夕食となりましたが、本視察会のフィリピンを知ると言うもう一つの趣旨のもとに、フィリピンの伝統舞踊や音楽を夕食と共に摂る事が出来るイントラムロス(スペイン時代に築かれた城塞都市)内にあるバルバラスと言う国際的に有名なレストランにてバフェスタイルの伝統料理をお楽しみいただきました。
翌二十日は9時にホテルより別の送り出し機関S社に向かいました。S社は中東・ヨーロッパ各国、アジア特にシンガポールなどに大量の労働者を送り出している大手の国際人材派遣業です。まだまだ日本向けには態勢の整いが不十分ですが、元々底力のある会社である事と共に直接の窓口となる日本語の堪能なJ氏のサポートを持つ点を評価して推薦された送り出し機関です。参加者一同J氏によるS社の日本との提携に向けた熱意と日本向けの社内体制つくりの解説を日本語にて受ける運びとなりました。
簡単な昼食の後、日本国の特定技能教育に係る教育事業の全てを司どる政府所轄機関TESDAの本部に向かい技術トレーニングセンターの見学を実施しました。しかしながら我々の要請と受け取り側の部署の管轄違いと言う問題に直面し、希望したスキルトレーニングセンター以外のトレーニングセンター見学に終始した点は、ガイド役としての私共の能力不足として参加者の皆様にお詫び申し上げると共に大いに反省をした次第です。
少しの休憩時間を挟んで当日の夕食となりましたが前述の趣旨に沿って現代流にアレンジされたフィリピンエンターテイメントを見学しながら食事を楽しめるシンギングクックにてフィリピン料理を堪能して頂きました。
視察最終日である翌21日は、受け入れ側日本国より不足していると指摘されている外国人労働者の会話能力や性格診断後に初めて入校が許す方針を大和では堅持し、入校許可されて者のみに会話能力の涵養も含めた教育を実施する大和日本語学校の、生徒の適正度の実地検証の為に朝から大和日本語学校にて生徒との交流会です。取り分け、午後に送り出し機関推薦候補生の採用面接会を控えられている介護施設のS理事長とM役員の御両名は真剣に生徒との交流と彼らの適正度と能力確認をして頂きました。
卒業直後の第一バッチの生徒四名、入校一か月半の第二バッチの生徒二名、自己紹介はありませんでしたが第三バッチに三十名の生徒の紹介と共に激励のお言葉をS理事長より頂き生徒一同大いに励まされました。
この理事長のご希望により、近在のレストランにて昼食を、介護士を目指す生徒と共に摂られる運びとなりましたが、同時に建設会社の社長の奥様も建設候補生と一緒の昼食を望まれ、食事をしながら胸襟を開いた意見交換とインタビューを実施されることとなり,更に高い評価を頂くこととました。午後には、面接を二会場に分かれて実施です。介護士の面接はJ社からの推薦候補者の五名を対象として大和の三―ティングルームにて実施したのですが、事前に大和からの優秀な候補生の推薦や面接を実施していたことから、J社推薦の五名のなかからは一名しか選ばれず、より高い評価を頂いた大和からの推薦介護士を合格とし、その他の生徒試験通過後に採用するとの有難い御予約を頂いた次第です。
一方S社にて実施されたプラスティックモールディングの候補者への面接は面接担当予定であった該当社の社長が視察会に参加できずやむを得ずズームによる面接となりましたが、それを参観されていた視察会メンバーからはこれら候補者の資質は随分と大和の生徒とは差がありますねとのご感想も頂き,痛し痒しでありました。
短い休憩後は、視察会の参加者全員と大和日本語学校職員全員参加の元にて、交流会をマニラの夜景を見ながらシーフード料理を堪能できるハーバービューに参りました。日本語能力に多少の差はありこそすれ、全員が日本語にて会話できる点や関係知識をしっかりと身に付けている点も御評価を頂く事が出来、来る日本国側の新制度施行に際しては、一層大和日本語学校の規模拡大を求められる事となりました。
今回視察会にて不足していた点は重々お詫びし反省するものであり、来年二月に予定している次回視察会では、更に内容ある視察会とすべく職員一度決意を新たに致しました。
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